<建物の取得価額>
建物の取得価額は、例えば他から購入した場合には、『購入代価+附随費用』ということになります。
実際に建物を取得すると、様々な費用が発生し、『この費用は建物の取得価額に含めるべきなのか?それとも損金に計上してよいのか?』と悩む場面も少なくありません。
<既存建物の取壊し費用はどうなる?>
自社が所有している建物を取り壊し、新たに建築する場合、既存建物の取壊し費用が発生します。
取壊し費用は、物件の規模によっては数億円発生する場合もあります。
では、この取壊し費用、その年度の損金に計上してよいのか、それとも新たに建築した建物の取得価額に算入すべきなのか、どちらになるのでしょうか?
<既存建物の取壊し費用は損金でOK!>
結論からいうと、自社が所有している建物の建て替えに伴う既存建物の取壊し費用は、その年度の損金として問題ありません。
確かに『新たに建物を建築する為に既存建物を取り壊している』という理由を考えると、『既存建物の取壊し費用は、新たに建築する為に発生した費用である為、新たに建築した建物の取得価額に含めるべき』という考えが生じるかもしれません。
しかし、法人税法上、既存建物の取壊し費用を取得価額に含めるべき旨を定めている通達は、法基通7-3-6のみです。
当該通達では、土地(借地権を含む)と共に取得した建物をその取得後、概ね1年以内に取り壊しに着手する等、当初からその建物を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかな場合には、取り壊した建物の取り壊し時における帳簿価額と取壊し費用の合計額を土地の取得価額に含めるべき旨を定めています。
よって、元々自社で所有した建物について老朽化等を理由に取り壊して、新たな建物を建築した場合における既存建物の取壊し時の帳簿価額と取壊し費用は、その年度の損金として処理して問題無いことになります。
≪終わり≫