会社の不祥事や業績悪化等により役員報酬や給与の支給を受けるべき者がその給与等の全部又は一部の受領を辞退する場合があります。
この場合の所得税の課税関係はどうなるのでしょうか?
<支給日が到来する前>
その受領を辞退したタイミングが、当該給与等の支給日前である場合には、所得税の課税関係は発生しません(所基通28-10)
つまり、当該給与等についての所得税の源泉徴収は不要となります。
支給日が到来する前であれば、支払債務は確定していない為、所得税の課税対象として認識されない、という訳です。
<支給日が到来していたら?>
では、その給与等に係る支給日が既に到来してから当該給与等の受給を辞退した場合にはどうなるのでしょうか?
この場合には、原則としてその辞退があった時において、当該給与等の支払いがあったものとして所得税の源泉徴収が必要になります(所基通181~223共-2)
<但し、例外がある>
上記のとおり、既に支給日が到来した給与等については、その受領を辞退されても所得税の源泉徴収が必要になります。
但し、たとえ支給日が到来した給与等であってもその受領の辞退が、その支払者の債務超過の状態が相当期間継続し、その支払いをすることが出来ないと認めれる場合に行われたものであるときには、所得税の源泉徴収は不要となります(所基通181~223共-2但し書き)
同様に法人の役員が、当該法人について特別清算の開始の命令を受けたこと等、一般債権者の損失を軽減するためその立場上やむなく、自己が役員となっている法人から受けるべき賞与等で既に支給日が到来しているものの受領を辞退した場合にも所得税の源泉徴収は不要とされています(所基通181~223共-3)
≪終わり≫